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広島高等裁判所 平成3年(ネ)38号 判決 1991年11月28日

控訴人

藏本育美

藏本正俊

被控訴人

右代表者法務大臣

田原隆

右指定代理人

大西嘉彦

外三名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

一  控訴人らは「原判決を取消す。被控訴人は、控訴人らに対し、それぞれ金五〇万円及びこれに対する平成元年四月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文同旨の判決を求めた。

二  当事者双方の主張は、原判決第二の「事案の概要」及び第四の一の1の「原告らの主張」のとおりであり、証拠関係は原審及び当審記録中の各書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一当裁判所も、控訴人らの請求はいずれも理由がなく、これを棄却すべきものと判断するものであるが、その理由は、次のとおり改めるほかは原判決がその事実及び理由欄で説示するところと同一であるから、これを引用する。

1  原判決二枚目表一行目の「以下の事実」から同二行目の末尾までを「以下の1項、2項後段、3項及び4項の事実は当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨によれば、2項前段及び5項の事実が認められる。」に改める。

2  原判決三枚目表三行目の「右事実関係の下で」から同六行目末尾までを「国会議員又は内閣の構成員が、憲法一四条一項等の規定に違反する民法七三三条を立法し、同条を廃止若しくは改正する立法等をしないという違法な公権力の行使をしたため、控訴人らは、前示のとおり市長による前記不受理処分及び裁判所による前記不許可を受け、これにより種々の不利益と精神的苦痛が控訴人らに発生したとして、国家賠償法一条一項により被控訴人に対し、慰藉料の支払を請求し、予備的に憲法二九条三項の類推適用により、上記損害に見合う金員を正当な補償として請求している事案である。」に改める。

3  原判決五枚目裏六行目の項番号「2」を「3」に改め、同五行目の次に改行の上次のように加える。

「2 民法七三三条の憲法適合性について

(一)  憲法一四条一項、二四条二項について

憲法は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した家族関係を理想とし、婚姻及び家族に関する事項に関しては、法律は右の点に立脚して制定されなければならないとし(同法二四条二項)、民法は、これを承けて、一夫一婦制を定め、その上に立ちつつ、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定し、また婚姻成立の日から二百日後又は婚姻の解消若しくは取消の日から三百日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する(民法七七二条)ことによって、社会構成の基礎となる夫婦を中心とする家族関係を明確にし、これによって家庭生活の平穏を保護し、子の福祉を図っているところである。

ところで、右法制の下においては、現に民法七三三条が採用しているような女が再婚する場合には一定の再婚禁止期間を設けるというような立法措置が併せて講じられない場合には、女が前婚の解消又は取消の日から三〇〇日以内で、かつ後婚成立の日から二〇〇日後に産んだ子については、嫡出の推定が重複することとなるところ、かかる父性の混同が生ずるような事態が法制上当然生ずることは、家族関係を不明確にし、国家、社会の基盤となる家庭を不安定ならしめる点から望ましくないばかりか、出生子の利益を損ない、後婚の家庭生活の平穏をも妨げることとなるから、父性の混同を防止し、女が再婚した場合における出生子の利益や後婚の家庭生活の平穏を保護するため、現に民法が採用しているような再婚禁止期間の制度その他の何らかの立法措置が必要であることはいうまでもない。

そうして民法七三三条は「女は、前婚の解消又は取消の日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」と定め、女子についてのみ再婚禁止期間を設けていて、再婚の要件について男女を区別しているところ、憲法一四条一項は、すべての人をすべての点について法上平等に取り扱うことまでを要求しているものではなく、個人的特性に基づく差異があるときは、その差異に応じた合理的な差別は許されるところであるとしても、同項は、特に人種・信条、社会的身分又は門地と並んで性別を掲げて、これにより政治的、経済的又は社会的関係において差別することを禁じていること、また、同法二四条二項はこれを受けて、前示のとおり、「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」ことを謳っているのであるから、女にのみ再婚禁止期間を設けてその婚姻の自由を制約することは、それが前示の父性の混同を防止し、出生子の利益や後婚の家庭生活の平穏を保護するという目的を達成するために必要やむを得ない手段でなければならず、そうでないにもかかわらず再婚禁止期間を設けた場合には、再婚に関して女子についてのみ不合理な差別を強いるものとして違憲の疑いが生じかねないところである。

(二)  憲法二四条一項について

憲法二四条一項は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」旨規定しているが、この規定が婚姻の要件として両性の合意以外の要件を定めることを一切禁止する趣旨であるとは解されず、現に民法では、婚姻は戸籍法の定めるところによってこれを届け出ることによって成立するものとされ(同法七三九条)、婚姻適齢が設けられ(同法七三一条)、未成年者の婚姻については父母の同意が要件とされ(同法七三七条)、重婚が禁止され(同法七三二条)、近親婚が禁止される(同法七三四条)などしているのであるから、女子について再婚禁止期間を設けることが直ちに憲法の右条項に違反するものではないことはいうまでもない。

(三)  憲法一三条について

控訴人らは、民法七三三条が憲法一三条に違反するとも主張する。しかし、同条の規定は、個人の尊重を国政の基本とすることを宣明した規定にすぎないから、民法七三三条の規定が法の下の平等を定めた憲法一四条一項の規定には違反しないのに、同法一三条の規定には違反するという事態は到底想定できないところである。」

4  原判決五枚目裏七行目の「右のとおり」を「しかし」に、同末行の「請求している」から同六枚目表一行目の「(二)しかし」までを「請求をしているところ」に、同末行の項番号「(三)」を「(二)」に、同九枚目表八行目の項番号「(四)」を「(三)」にそれぞれ改め、同一〇枚目表三行目から同一〇行目までを次のように改める。

「(四) これを本件について見るに、(1)民法七三三条が、真実は父性の重複の回避を目的として女子に対して再婚禁止期間を設けたものではなく、実際にはこれに名を藉りて男尊女卑の封建的道徳観に基づき女子の再婚を嫌忌して女子の再婚を制限する目的をもって制定されたことが明白である場合、(2)再婚禁止期間を定めても父性の重複の回避に何ら役立たず、却って一時的にせよ内縁の夫婦を増加させ、その間の子を一度は非嫡出子とする弊害のみが生ずることが明白である場合、(3)父性の重複を防止するためには女子についてのみ再婚禁止期間を設けるという方法に比してより制限的でない他の手段が存することが明白であるのに、あえて女子についてのみ再婚禁止期間を設けた場合又は(4)仮に父性の重複を回避するためには女子に対して再婚禁止期間を設ける必要があるとしてもそのためには民法七七二条の規定上嫡出推定が重複する前婚解消後一〇〇日又は一〇一日(学説によって異る)あれば足りることが明白であるのに、六箇月という必要以上の長期に亘って女子の再婚を制限した場合等再婚禁止期間の制度そのもの又はその期間が父性の重複の回避という目的に照らして不合理であることが明白であるのに、国会又は内閣が民法七三三条の規定を設け、又はこれを改廃する措置を講じない場合に限って、民法七三三条についての国会議員又は内閣の成員の立法行為(その改廃の不作為を含む)の違法を理由とする控訴人らの国家賠償法一条一項に基づく損害賠償請求は理由があるというべきである。

そこで、以下においては、民法七三三条の再婚禁止期間の規定が父性の重複の回避という目的に照らして不合理なことが明白であるか否かの点について検討する。」

5  原判決一〇枚目表末行から同一三枚目裏三行目までを次のように改める。

「4(一) まず、控訴人らは、民法七三三条は父性の重複の回避を理由として設けられた規定ではなく、男尊女卑の儒教的道徳観に基づいて、女子の再婚を嫌忌する父権的思想に依拠して制定された規定である旨主張する。

しかし、<書証番号略>によれば、(1)明治二三年民法(旧民法)草案人事編においては、その四二条において、女子については四か月の再婚禁止期間が設けられていたところ、この四か月という期間は、諸外国にあってはこの禁止の月数が例えば一〇月(フランス法)であったのに、同草案では、懐胎から分娩日までの最長期間は三〇〇日、最短期間は一八〇日であるから、その差の一二〇日すなわち四か月が父性の混同を防止するために必要な最少期間であるとして定められたものであること、同草案では夫の失踪を理由とする離婚の場合又は前婚解消後分娩をしたときは直ちに再婚することを許していることからも、この再婚禁止期間が父性の混同を防止するために設けられたものであることは明らかであること、(2)明治二三年民法(旧民法)人事編三二条においては、再婚禁止期間は六か月に延長されているところ、これは、当時は四か月では妊娠の有無を確実に診断することが難かしく、女子が前夫の子を懐胎しているのを知らずに、又はこれを隠して再婚し、再婚後前夫の子を出産したときは、後婚の家庭の平穏を妨げるという不都合を防止するために、本人はもとより他人においても懐胎が分かる段階まで待つという意味でなされたものであって、後夫保護の父権的思想に基づくものとはいえないこと、(3)明治三一年民法(旧法)の七六七条は女子の再婚禁止期間は旧民法と同じく六か月と定めたが、婚姻中懐胎推定期間については、現行民法と同じく婚姻成立の日より二〇〇日後、婚姻解消又は取消の日より三〇〇日内としているところ、法案起草者からは、再婚禁止期間は血統の混乱を防ぐという目的が唯一の理由である旨説明されており、それにもかかわらず嫡出推定が重複する一〇〇日又は一〇一日より長い六か月の期間が定められたのは、主として再婚後前夫の子を出産することにより後夫との間に不和紛争が生ずることは妻や出生子にとっても少ない方が望ましいし、後に父性が争われてその判定が困難となる場合をできる限り少なくしたいという考慮によるものであって、決して女子が前婚解消後早く再婚するのは望ましくないという封建的な国民感情や後夫保護のみの目的でなされたものではないこと、(4)このことは、旧法をそのまま受け継いだ現行民法七三三条についてもそのままあてはまることがそれぞれ認められるから、再婚禁止期間は、女子の再婚を嫌忌する父権的思想に立って立法された著しく不合理な規定である旨の控訴人らの主張は採用できない。

(二) 控訴人らは、再婚は多くの場合前婚の事実上の離婚と後婚の事実上の成立(内縁)が先行している。すなわち、夫婦が婚姻を解消するときは、通常別居等により性交渉もないのが実情であるから、その上再婚禁止期間を設けることは実態にそわず、不合理である旨主張する。

離婚後の再婚の場合における生活実態についての控訴人らの主張には確かに首肯しうる側面があるが、協議離婚を認めず、かつ、離婚の要件として多くは一定期間の別居や考慮期間が設けられている諸外国の場合とは異り、協議離婚を認めるわが民法の下においては、離婚後の再婚の場合であっても、法制度上父性推定が重複すること自体は避けられないのであるから、法制度としてその回避の手立てを講ずることは立法上当然の要請であって、従ってその回避の手段として、民法が採っているように再婚禁止期間を設けることは一見不合理であるとは到底いえない。夫死亡による婚姻解消後の再婚の場合についてはいうまでもない。

(三) 控訴人らは、再婚禁止期間は、法律上の再婚を一定期間阻止することはできるもののそれは単に婚姻の届出を延引させるに過ぎず、事実上の再婚まで阻止することはできないから、形式的には父性推定の衝突を回避することはできるとしても、前夫の子と推定される後夫の子が後婚成立後に生まれる可能性を完全に防ぐことはできないし、却って一時的にせよ内縁の夫婦を増加させ、その間の子を一度は非嫡出子とする可能性を有するから、無用、かつ有害の制限である旨主張する。

しかし、再婚禁止期間の規定は、女子が再婚した場合における出生子の利益や後婚の家庭の平穏を保護するために嫡出推定の重複(父性の混同)をできるだけ防止しようとする制度であり、目的そのものには合理性があるといわなければならないし、再婚禁止期間を設けなくとも嫡出推定重複の防止が図り得る法制を設けずに再婚禁止期間の規定を廃止した場合、現在より嫡出推定の重複する場合が増えるであろうことは容易に予想できるところ、嫡出推定が重複する子については、父を定める訴え(民法七七三条)により父が定まるまでは父は未定となり、著しく出生子の福祉に反する事態が生ずる。右のとおり、再婚禁止期間の制度を維持することによって、これを廃止したときに生ずる上記の不都合をはるかに上回る弊害が生ずるとはいえないのであって、従って再婚禁止期間は、無用、有害の再婚の制限であるとは到底言えない。

(四) 控訴人らは、まれに起きるかも知れない嫡出推定の重複の可能性を根拠として、女子の再婚の自由を著しく制約する再婚禁止期間を設けなくとも、親子鑑定等によって推定を覆すことができるから、父性推定の重複を回避するという目的をもって女子に対する再婚禁止期間を設けることは不合理である旨主張する。

確かに、現在の医学水準からすれば、親子鑑定の正確性は立法当時よりはるかに高度のものであることは、<書証番号略>からも窺い知ることができるところである。

しかし、前示のとおり、再婚禁止期間が廃止された場合には嫡出推定が重複する場合が現在より増加することは明らかであるが、父の決定がすべて裁判所によりなされなければならないとすれば、その間父が不明となるという子の不利益、裁判に要する労力、費用等のことを考えただけでも、子の福祉にもとる結果となることはいうまでもなく、従って、親子鑑定が容易に正確になし得るというだけでは、再婚禁止期間が一見不合理であるということは到底できない。

(五) 再婚禁止期間という女子にのみ不利益を課する制度を設けなくとも、例えば嫡出推定が重複する場合には、後夫の子と推定し、この推定は親子不存在確認の訴えによって覆えし得るものとする方法も考えられるのであるから、再婚禁止期間の制度は不合理であるとする見解もあり得よう。

しかし、右の方法によっても、父性の混同を来たす場合があることは避けられず、その場合には子の地位は不安定になるものであるところ、<書証番号略>によれば、右のような法制をとる国においても、旧西ドイツ、スイスなどのように、なお再婚禁止期間を維持することによって父性の衝突が生ずる場合をできるだけ少なくしようとしている国もあることが認められることから言っても、嫡出推定の重複を回避するための他の方法が存在するからといって、立法者がこれを採用せず、再婚禁止期間を設けることによって父性の重複を回避する方策を採ったからといって、一見不合理であるとは言えない。

(六) 控訴人らは、民法七三三条の定める再婚禁止期間は、父性の推定の衝突の防止という目的を達成するためには長きに過ぎ、著しく不合理である旨主張する。

確かに、民法七七二条が定める婚姻中懐胎推定期間を前提とすれば、嫡出推定が重複する可能性のあるのは一〇〇日又は一〇一日(学説により異る)であるから、民法七三三条が嫡出推定の重複を避けることのみを立法目的とするのであれば、同条の定める六か月という期間は長きに失し、不合理であるという考え方には十分首肯できるものがある。

しかし、前示のとおり、民法は、一〇〇日(又は一〇一日)では懐胎の有無を一般人が確実に知ることは難かしいので、女子が再婚後前夫の子を出産するという不都合を避けるため、一般に懐胎の有無を確実に知り得る六か月にしたものであるところ、かかる附随的な立法目的も直ちに不合理であるとするわけにはいかない。のみならず、現代医学の進歩に伴いいわゆる未熟児も無事成長する例が多くなり、懐胎後二〇〇日未満で出産することは決して珍らしいことではないこと、及び懐胎後三〇〇日を超えて生まれる過熟児があることは、いずれも公知の事実であるところ、民法の予定する懐胎期間は短きに失するのではないかとの考え方もあり、更に民法七七二条については嫡出推定の範囲を婚姻中に出生した子全部に拡げるべきであるとする意見もあるところ、これらの見解に従って立法がなされれば嫡出推定の重複の期間は長くなるのであって、従って再婚禁止期間が長きに失するかどうかは七七二条の規定等とも合わせて立法当局において十分検討されることが必要であるから、現行の再婚禁止期間が長きに失して一見不合理であるとは直ちに断じ難い。

(七) 控訴人らは、再婚の際懐胎しているか否かは医学の進歩により容易に判明するのに、懐胎していないことの医師の証明書が提出された場合にも、再婚禁止期間の規定の適用除外としていない民法七三三条の規定は、明らかに不合理である旨主張する。

確かに民法が再婚禁止期間を設けた主たる目的は、前示のとおり父性の混同を防止する点にあるから、民法自身も「女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない」旨規定して除外例を認めているところである。また<書証番号略>によれば、戸籍実務の上でも、右規定を類推適用して、父性推定の衝突のおそれがない場合には、期間内といえども婚姻届を受理する扱いをしている場合もあること、しかし、懐胎していない旨の医師の診断書が添付されていても婚姻届は受理しないという取扱いをしていることが認められる。

控訴人らの主張するとおり、再婚する女子がもし懐胎していないのであれば、父性推定の衝突は生じないから、理論的には、例外的に再婚禁止期間の規定の適用が除外されて然るべきである。

しかし、民法は婚姻は戸籍法の定めるところによってこれを届け出ることによってその効力を生ずるものとしているが(同法七三九条一項)、戸籍法は周知のとおり届出についていわゆる形式審査主義をとっているから、戸籍管掌者が再婚をしようとする女子が懐胎しているか否かについて実質審査することはできず、懐胎しているか否かの審査は他の機関が発行した証明書等によらざるを得ないところ、その場合単なる医師の証明書で足りることにするかどうかは立法論として検討を要するところである。従って、女子が懐胎していない場合に再婚禁止期間の規定の適用を排除していない民法七三三条の規定が直ちに一見不合理であるということはできない。

(八) なお、控訴人らは、再婚禁止期間の規定に反してなされた婚姻を取消し得るものとしている民法七四四条の規定は著しく不合理である旨主張するが、前認定のとおり本件事案は再婚禁止期間の規定に違反してなされた婚姻が取消された事案ではなく、本件の結論を導き出すためには、右の点について検討する必要は全くないから、当裁判所は、右の点については判断をしない。

6  原判決一三枚目裏四行目の冒頭に項番号「5」を加え、同九行目の「締約国」から同一〇行目の「禁止し」までを「わが国の憲法と異り、締約国に対して性別に基づくいかなる差別をも絶対的に禁止し」に改め、同一四枚目表二行目の「したがって」から同五行目の「明らかである。」までを「したがって、前説示のとおり、民法七三三条が六箇月の再婚禁止期間を定めていることが一見不合理であるとまではいえない以上、わが国がこれらの条約を締結し、承認した後直ちに立法機関において民法七三三条の規定を改廃しなかったからといって、その行為(不作為)が国家賠償法一条一項の規定の適用上違法の評価を受けるものではないことはいうまでもない。」に改め、同六行目の項番号「(三)」を「6」に改める。

二以上の次第で、控訴人らの請求はいずれも理由がないから、これを棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官篠清 裁判官宇佐見隆男 裁判官難波孝一)

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